大判例

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福岡高等裁判所 昭和27年(う)2470号・昭27年(う)2469号 判決

本件起訴状及び原判決を調査すると被告人が昭和二十六年十二月二十日頃より昭和二十七年一月二十九日頃までの間八回に岡田慶助より覚せい剤を譲受けた場所につき起訴状には大牟田市明治町二丁目日新堂とあり原判決には同市栄町西鉄駅前荷物預り所吉村市太郎方と記載されていることは所論のとおりである。しかし右の場所の如きは本件犯罪の構成要件ではないから裁判所は起訴状に拘束されることなく証拠に基ずきこれを認定すれば足り、特に右場所につき、訴因変更の手続を取らしめた後、その場所を認定する必要は毫もない。

弁護人は又犯罪の場所は不在証明の立場から、裁判所が起訴状と異る認定をなすにつき、訴因変更の手続を要する旨を主張するのであるが、上敍の如く裁判所は証拠に基ずく犯罪の場所を認定するのであつて、しかも右の証拠採用に際しては訴訟関係人は証拠の請求に先行してその閲覧を相手方になさしめ又裁判所は右の証拠についての相手方の意思弁解を求めると共に反証を以て争い得る機会おも与えるべきことは刑事訴訟法の明定するところであるから被告人又は弁護人は右の機会に犯罪の場所につき十分の検討を為し得るは勿論その不在証明の反証を挙げることがでるわけである。しかも原判決挙示の証拠中検察官作成の岡田慶助の供述調書及び原審第三回公判調書中の証人吉村市太郎の供述部分等を綜合すると被告人は岡田慶助と大牟田市明治町二丁目日新堂方において本件覚せい剤の譲受の契約をなしその現品は同市栄町西鉄駅前荷物預り所吉村市太郎方において受領したことが明白であるから、原判示の認定を為すに何等の支障がない。従つて原審が訴因変更の手続に依ることなく犯罪の場所につき起訴状記載のそれと異なる認定をしたからと言つて、被告人の防禦権を無視したことにはならない論旨は理由がない。

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